風景 独り占め
第三回 「町並みへ貢献」
家は街に対して、勝手に存在すればいいと言う分けにはいきません。いまある街並に寄り添い、さらに魅力ある地域に出来ればと考えています。
二分割で間口が狭くなったこの敷地では、道路側ファサードスッキリすることを考えて窓の数を必要最小限にしました。総二階の建物はどうしても高さが強調されてしまいます。そこで、仰ぎ見るような感をは避けるために、一階駐輪場覆い屋の機能を持った庇を東西に伸ばしました。この庇軒先の見付を薄くして横の線を強調しました。結果、建物の高さが抑えられ、軽やかで伸びやかなファサードにすることが出来ました。
玄関の地窓は土間の足元を明かるくするためと、通風の役目を兼ねています。外側に置くプランターの緑は地窓を少しでも隠くすためと、玄関の内外から緑を楽しめればと考えました。ちょっとした緑でもこころ豊かにしてくれます。また、駐車場の東隅にはシンボルツリーを植えました。
南側は「風景・独り占め」を満喫できるファサードとバルコニーで構成されています。
控えめで、スッキリ、でも、そこにしっかりと家族を包み込む家が完成しました。
第二回 「環境に家族と暮し方が調和するかたちを考える」
プランに対する要望欄「家づくりで大切にしたいこと」に「外の景色を取り入れて、開放的に」と記載されていました。
敷地の状況を把握することが計画作成の第一歩です。それも、太陽が顔を出している時に敷地で周りをきょろきょろして構想を練るのです。色々と気づく事もあり、そして思いがひとつにまとまっていきます。
この計画地は北側に接道する敷地を二分割したもので、その西側が今回の建設地でした。高台で街の家並みを眼下に眺め、その先には遠く大山連山と富士山の頂が見える南向きの敷地です。眺望のよさの一方、土地は起伏があり南側は崖になっており、遊ぶ庭を造るには難しさがあると考えました。東西両サイドは家に挟まれ眺望は望めません。
要望にある二階のLDKからの眺めで、敷地の両側にある家を室内の視界から消せればと考え、南北に長い敷地の特徴を利用して駐車場を取り、なるたけ家の配置を南側にしました。
ダイニング・キッチンに続いくバルコニーは家族の第二のリビングであり、ゆっくりと未来を見つめる広がりのある場になりました。主婦の日常の導線を考え水周りは二階に設け、LDKから隠れた場所に物干し場をバルコニーに設けてあります。太陽の光が差し込むことが水周り、特に浴室には大事と考え東側にプランしました。
二階のLDKとロフトを覆うように大屋根が掛かっています。空間に広がりと変化が出せたと思います。
スポーツが大好きなお子さんのため玄関外に水場、玄関土間続きに用具等を片付ける納戸を設けてあります。自己管理を徹底させるにも良いのではないでしょうか。玄関と駐輪場を覆うように大庇をL字形に取り付け、雨対策も考えました。
環境に家族と暮らし方が調和するかたちの家が高台に完成しました。
第一回 「家の中心はリビングそれともダイニング」
家族が集って会話が弾む場所はどこでしょうか。以前は漠然と居間:リビングと勝手に答えを出していた気がします。そうでしょうか。
小中学生のお子さんはどこに集まるでしょうか。きっと、お子さんは、お母さんとの会話や、宿題をしながらおやつを楽しむ場所が食卓:ダイニングであることが多いのではないでしょうか。自然と集まる場所になっていると思います。親は子供の様子が分かり、子供も時には分からない問題を質問できるそんな場所がお互い居心地の良い場所で、長居もしたくなると思います。
それでは、リビングではどうしているのでしょうか。リビングといえばテレビが付き物。おかげでついついそちらに目が行って会話も少なくなってしまうのではないでしょうか。さらに視線が内向になってしまい会話も途切れがちです。または、画面とにらめっこしてゲームに夢中になっている風景です。家族の会話を考えると中心は食卓のあるダイニングに分がある気がします。いかがでしょうか。
そこで、この家では階段を上がった二階に、囲われた感じの場所を設えてリビングにしました。それに続いて、ダイニングと奥様の城キッチンを一体にして眺望のいい南に開いた配置にしています。
外部には、大人数で食事も出来るバルコニーを作りました。素敵な場所でする食事と勉強は明日への糧です。
先を見据える場所を家族四人の中心とした、二階建て95㎡(28.73坪)の家が完成します。