可喜庵亭主ブログ
小さな建物と学会賞
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弓道場とボクシング場
この二つの建物は学生のスポーツ施設で与条件は似ており、木造のローコストが大学から要望だったそうです。室内空間に入り天井の木組みを眺めるとこれらの建物の違いが一目で理解できます。静の弓道と動のボクシングでしょうか。
弓道場は、細い材料を組み合わせた民家の和小屋から派生した格子フレームの繰り返しでリズムを刻んでいます。もともとは、射場に覆屋はなく、射手は屋外で屋根つきの的場めがけて矢を放っていたそうです。繊細な架構の屋根の下で的に向かって立つと精神統一が図れると思いました。建物は的に向かって全面開放ですから、解放感がでていました。
一方、肉体のぶつかり合いのボクシング場は、寺院建築の斗拱(ますと手先)から派生した天秤フレームで四寸角の木造の組み物が整然としかし荒々しい架構を表現しています。
二つの建物の無柱空間は7.2m*10.8mと、たまたま同じサイズでしたが中に入るとその違いを肌で感じられます。同時期に同じ材料で違った空間を表現した素晴らしさを実感できた見学会でした。
設計は、福島加津也+富永祥子建築事務所で、二つの建物は日本建築学会作品賞受賞作です。武蔵工大卒の福島さんに説明と案内をしていただきました。
「工学院大学わくわくサイエンス祭科学教室」が開催中で大勢の親子連れで校内は賑わっていました。
建築家武藤章氏の図書館を見学したかったのですが、取り壊し準備で閉館していました。