悠々と
先祖代々木曽町にお住まいで、敷地活用で現在のお住まいを動くことになり、隣接地に新築することになりました。前面道路より1m程低い敷地地盤を、建物建設地と駐車場の二段に分けて敷地を作ることにしました。道路面に接する駐車場の高さから住宅の地盤を30㎝下げることで、住宅の基礎コンクリートの高さに近づけました。これで、玄関までのアプローチに高低差・階段をなくし、道からの家のボリューム感を抑えています。玄関までを長めにとった路地には、元の家にあった植栽を移植し思い出と奥行きを出しています。スムーズなアプローチが、バリアーフリーの家へと導きます。
この家は、二世帯が同居しますが、それぞれの居場所をつくることで、水回り等は分けないバリアーフリーの暮らしができる家になっています。いまお住まいの家のように、安らぎを覚える木の仕上げを適度に使用しました。特に、普段使わない桐を一階床材として使用しました。この材の特徴は柔らかく傷がつきやすいのですが、その柔らかさが足への負担を和らげ、保温性がよく素足でも氣持ちよい歩行感があります。色合いも落ち着いています。
壁は、白を基調として明るく、広い開口とオープンな平面で空間に広がりを持たせています。二階は大屋根が掛るバルコニーに面して部屋を配置し、将来隣地に住宅が建つことで生じる目線を予測した造りとしました。簡単な水屋を設けてあり下りずにのんびりできます。
ZEHの家
断熱、気密のレベルを確保し、窓の性能を高めることで熱負荷を低減して、さらに最高発電量5.28kwの太陽光発電を屋根に設置して、ZEH(ゼロエネルギーハウス)を実現しています。年間のエネルギー消費量がプラスマイナスゼロになります。温暖化の原因である二酸化炭素の排出を抑えて、温度上昇を産業革命以前比で2℃以下に抑える協定がCOP21パリ会議で採択されています。
子供世代に負の遺産を残こさない家づくりが求められましたが、日本の住宅のエネルギー消費は1997年12月のCOP3京都会議以降も上昇しています。そこで、この家の一次エネルギー消費はゼロになっており、通常の家と比較して暖房、給湯、照明で28.5%の削減になっています。災害時でも暖房をことさらしなくても温かく、ヒートショックのない暮らしが可能になります。夏は、エアコンを間欠運転するのではなく、連続運転で涼しい生活ができます。もちろん主電源は屋根に載せた太陽光発電で賄う、心と体に優しい家です。移植した思い出ある植栽の緑が風に揺れ、それが作る木陰を眺めているだけで楽しいものです。ゼロエネハウスは設備以上の心地よさを運んでくれます。