「どこも、おなじ。」
宅地の細分化や建て替えがすすむ都市の縮図のような袋小路の敷地が周辺環境ですが、分譲から50年以上経過し、庭木の生い茂る、ゆったりとした環境にもなっていました。さらに、物干し場越しにお話をする関係の場所です。
永年住んだ家は、物が部屋に溢れ「家のなかに落ち着ける場所なんてない」、寒い家になっていました。
そこで、建替えにあたりおふたりの要望は、「暖かく、楽に家事ができる」、コンパクトな暮らし易い家でした。計画は、平屋からスタートして3案目で決まりました。
玄関スペースを横に広げ、奥行きを抑えています。その、間仕切りを回り込むとリビング・ダイニングです。リビングには階段が吹抜けスペースに設けてあり、南の窓からは冬の日差しが部屋の奥まで射しこみ、間接光のような柔らかな光に包まれます。
二階の吹抜けを挟んだ東側には寝室、西側には隠れ部屋の趣をもたせた書斎兼和室があり、回遊できます。居場所を移動する際、吹抜があることで気分転換にもなります。ご主人の書斎テーブルがある大きな気積の吹抜は、環境装置であり、互いの気配を感じられる空間演出装置にもなっています。
収納場所をそれぞれに設けることで部屋の乱雑を抑えて、使い勝手や掃除などの家事もラクになるよう考えました。
ファーストスケッチ