通り抜ける家
第三回 可変性
居間の近くに和室を欲しいとご希望されるお客様が、たくさんいらっしゃいます。
使い方のイメージをお伺いするとご両親・お客様の泊まれる場所だったり、赤ちゃんとお母さんの寝室だったりします。
一時的な使用ですが大切な人を招くため、使われ方を変えながら家族をつなぐ、+αのもう一部屋です。
また、お子様の部屋も、成長に合わせて仕切り方が異なってきます。部屋の仕切り方・つなげ方は、家族のつながりを反映します。
仕切れるけれど開いてオープンに使える家、家族の成長・住まい方の変化に答えられる家。鈴木工務店では、間仕切りの変更を想定したプランを、最初はあまりつくり込み過ぎず、住まいながら育てていく家を提案させていただいています。
シンプルな家-おおらかで、なおかつムダのない合理的な家-(難しいですね。
第二回 空間 ― 壁・天井 ―
「通り抜ける家」は、オープンな間取りで廊下もありません。
では、どのように空間を分けるているのでしょう?
仕切るのではなく繋げる。
それが、壁と天井です。壁は、開口部と同じく重要な要素です。
ある建築家は「いい壁をつくることによっていい開口部ができる」と言っています。
受け止める壁、背景となる壁、開口部の額となる壁、また壁はその配置。
「壁」をどう考えるかで、家の流れがかわります。天井は、仕上げとともにその高低差をコントロールすることで、
空間にそれぞれの性格を与え、変化を与えます。
この家では、様々な天井があります。
見学会では注目してぜひ見てください
[caption id="attachment_4921" align="aligncenter" width="269"] 壁の仕上げの変化[/caption]
[caption id="attachment_4920" align="aligncenter" width="269"] 屋根なりの勾配天井[/caption]
[caption id="attachment_4919" align="aligncenter" width="270"] 連続する大梁のリズム[/caption]
[caption id="attachment_4917" align="aligncenter" width="315"] 天井高さを抑えた玄関[/caption]
[caption id="attachment_4915" align="aligncenter" width="269"] 小さな吹き抜け[/caption]
第一回 通り抜ける家
今回の土地は、南北に長く 東側・西側を家に囲まれた場所です。 住まい手の生活スタイルはもちろんですが、家の中そして庭の全てがこの土地を生かすように考えました。いつも、計画するときに考えていることですが、眺め、光と風の通り抜け、その広がりと絞り込み、距離感と間、といったキーワードをもとに、家族みんなが集う居間の空間を中心に、南北の広がり、庭とつながり自然を楽しむ生活をこの家で計画しました。
デッキ・庭とつながった家族みんなが集う居間の空間、そこは、知人・隣人を招き入れる場所であり、家族が庭・町へ広がっていく ホームとなります。
デッキ・植栽ができると、家も喜びさらに生き生きとしてくるはずです。お楽しみに
(片岡 巌)