時を刻む-街を彩る佇まい
第三回 場所の固有性と選択性―お気に入りの場所はありますか?
家づくりでは、ほとんどの場合が複数の人々(≒家族)が生活することを想定するわけですが、
言い換えればそれらの人々の関係性を考えることであるともいえます。
一日中、顔を突き合わせているのでは、家族といえども疲れてしまいますし、
誰だって時には一人になる時間も必要です。
それらを考えると、可能であるならば多様な場所から、
気分や用途にあわせて選択できるということも大切ではないかと思います。
そしてそれが自分にとってのお気に入りの場所を見つけることになるのではないでしょうか。
この住宅では生活における様々なシーンを思い浮かべながら、
その時々にあわせた楽しみ方ができることを心掛け設計しました。
また、実際に建物が出来上がってはじめて、
思ってもみなかった使い方を発見することもありました。
あなたにとってのお気に入りの場所は見つかるでしょうか?
是非教えてください!
第二回 建設計画―今持っている荷物、どうしましょうか・・・
今回の住宅での課題のひとつが、多量の荷物をどうしていくかということでした。
建て替える母屋の他にも大きな倉庫があり、多くのモノが詰め込まれていました。
これを機に不要なものは処分して頂くことになったのですが、
それでもまだまだ多くのモノたちが残っています。
そのため建て替えに先立ち、まず物置を新築し、それらの荷物を移す計画を立てました。
荷物を運び出した後に住宅本体の新築工事に取り掛かろうというわけです。
このようなケースは稀ですが、特に建て替えやリノベーションにおいては
着工からお引渡しまでの工事の進め方や、その間の生活の仕方も考慮する必要があり、
それはまた設計・施工で行うことの強みであるともいえます。
第一回 配置計画-「場」を読む
建物の設計はまずその場所を読み解くことから始まります。
敷地の広さや高低差はあるのか、水道・電気・ガスはどこから引き込み、
周囲の家々との離れや窓の位置は。
また前面道路を行き交う車や人の量、そしてその地域にはどのような人々が住み、
どのような歴史を持つ街であるのか。
数え上げればきりがありませんが、
これらのひとつひとつを現地で感じ取ることが建物を発想するうえでの第一歩となります。
その後、家族構成やそこでどのような生活をするのかを考え、
仮定した建物のヴォリュームを横へ拡げるのか、上へ積み重ねていくのか
といった具合に敷地に当てはめていきます。
それと同時に、庭をどのようにつくり、どの部屋から楽しむのか。
また車が必要であるならば、どこに駐車スペースを設けるのか、
といったことも考慮に入れながら建物の配置を計画していくわけですが、
これらは敷地の内側だけに限った話ではありません。
これからの長い先を見据え、
その街その地域にどのように関わり、暮らしていくのかという表明でもあるのです。