セカンドステージ はつらつと
第二回 「リノベーション」
リノベーションとは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたり、建物の経年にともない、時代に合わなくなった機能や性能を、建て替えずに、時代の変化にあわせて新築時の機能・性能以上に向上させることです。
具体的には、耐震性や防火安全性を確保し、耐久性を向上させる、冷暖房費などのエネルギー節約のために行います。その為には外壁の補修で耐震補強や断熱材の交換、建具や窓枠の取り換え、間取り変更、給排水設備更新、冷暖房換気設備の更新などをします。
日本の住宅の寿命が25年から30年といわれていますが、物理的に使えるのに建替えるのはいかにも勿体無い話で、その時々に手を入れさえすれば50年以上一世紀でも木造住宅は使用可能です。
可喜庵はあと数年で150歳になります。
今回は、NPO法人新木造住宅技術研究協議会の「断熱耐震同時改修プロジェクト」に沿って工事をしています。耐震計画は一般診断法計算で補強後評点1.0以上、また、省エネルギー対策を考え、熱損失係数は東京地区の2.1以下になるように断熱性能UP、日除け、通風等を行っています。これらの工事で室内温度差が減少されオープンな間取りが可能になりました。さらに、中古住宅の流通促進や今後の改修工事のための記録として「維持保全計画の作成・工事記録の作成及び保存」で建物の履歴書を作成します。
家の「カルテル」でしょうか。
第一回 「家にもセカンドステージ」
築15年ですから、30年が日本の住宅の寿命とすれば人の平均寿命に換算すれば40歳の壮年期にあたるのでしょうか。でも少し設備などに不具合も発生してきたのと、「セカンドステージをはつらつ」と暮らす希望の施主さんの計画で始まりました。
平成7年に購入してから一度改修工事もされていましたが、全面改修・リノベーションをすることになりました。LDKを二階に上げ、浴室は今までどおり一階に残して寝室を下ろす一二階総入れ替えになりました。初訪問で二階に上がると、東は家並みを抜けた先に階段があり、その風景が映画の一シーンに思えてきました。西側もまた大山が遠望でき、近くの住宅街のランドスケープが異国情緒に見えました。そして、二階は太陽が一日差し込んできます。陽当たり良好。頭に浮いたこの逆転プランを提案、即決してくれました。
大掛かりな改修でも確認申請が不必要なこともあります。法規内での増築計画、小屋裏も収納量を増やすために広くしたり、北側のサービスバルコニー、食堂南側にはブランチを楽しめるバルコニーも設置しました。
ハイライトは二階のフロアーをワンルームとしたLDKでしょうか。キッチンを司令塔のようにダイニングとリビングに挟んで中央に置いていますが、キッチンの賑やかさから少しでもリビングを守るために一部壁を設けて視線を遮っています。また、リビングと一体の書斎コーナーがありますが、腰壁を設けてテーブルを隠しています。部屋の広がりは確保されています。
天井は二つの形状で構成されています。リビングと一体の廊下部分は北側斜線で低く平になっているのに対し、リビングは高さを確保すべく、せり上がる波のうねりが踊っています。これが空間の単調さに動きを創り「はつらつ」さを演出しています。
今までとは、違う「セカンドステージ」空間が完成しました。