大人のアウトドア派が余暇も楽しむ家
第三回 ひと手間、加えてみたら
家づくりの各段階でひと手間を掛けたくなるものです。ちょっとの事で雰囲気も大きく変ります。
この家でもやってみました。
【モジュールは1メートル】
3尺は910mmですが、この家は基本寸法を1mにしています。床面積が1.23倍、寸法は1.11倍になり、トイレに余裕を持って手洗いを設けることができます。また、納戸に手持ちの箪笥を収納しても余裕があり、玄関続きの納戸も作業には大きな支障はありません。
ゆったり感がでます。
たかが90mmですが、されど90mmでしょうか。
【キッチンの面材】
システムキッチンを使用しましたが、面材を家具屋に依頼して現場で交換してみました。本体の箱はどれも同じ、面がすべての趣を決定します。外部の黒に合わせて黒系のオイルステイン仕上げで木目が浮き出ています。
【木製窓】
居間に全開口できる木製一本引きガラス戸を設置。杉板でガラス戸を収納する戸袋をつくり黒色で塗装してアクセントになっています。赤茶の木製戸といいコントラストを見せています。
【キッチン上の天蓋と階段】
火気使用室は天井と壁に防炎対策をしなくてはいけません。個室に閉じ込めたり、垂れ壁を作りますが、大き目の天蓋もどきを作って対応しました。計算式で一部を円弧にして空間に変化と柔らかさを出してみました。垂直、水平をしっかり押さえる木造住宅は硬い感じになりますが、こんな工夫も気分をほっとさせてくれます。
階段は上階から見ると一続きに見えて、階段の認識が難しいことがあります。そこで、段鼻に溝を掘り込み朱色で塗装しています。色がアクセントとなって階段も認識しやすくなります。
【心地いい高さの軒線】
敷地は道路より一段上がっています。二階建てのボリュームを小さくする為と極力低く見せるために、下屋の屋根の高さを低く押さえました。二階の外壁が乗っていますが威圧感のないプロポーションになったと思います。(完)
第二回 叶えられたこと2
「全体イメージ」としての要望項目です。
【木の家】
表しの構造躯体と、造作材に国産杉を使用しました。室内天井の梁の間、外部軒天井も杉板をはり、浴室壁、天井は桧板で仕上げています。外壁の一部にも杉板を張りました。床材も蜜蝋ワックス掛けをした無垢の堅木です。
材を見せて「木の家」といえるのではないでしょうか。しかし、多用しすぎはいけません。
【土間・囲炉裏】
下屋の屋根に覆われた玄関ポーチから玄関へと導かれます。
墨入りのタタキの玄関に続いて土間の収納があり、アウトトドアで使用する用具等に簡単にアクセスできます。スキー板も壁掛けでいつでも躊躇なく好きな板を取り出せます。
残念ですが、囲炉裏は法的問題もあり諦めていただきました。
【テラス リビングから続くウッドデッキと20畳以上の広いLDK】
一階はワンルームといっていいほど仕切りをなくしたプランにしました。リビングの一隅を切り取るように多目的な和室・6畳も設けました。これらをあわせると20畳を超える部屋になり、さらに2m×3mの吹き抜けで上へも広がりを創りました。
このリビングの外に、室内と一体感を持たせるウッドデッキが庭へ突きでています。ウッドデッキのお陰で空間に広がりが生まれ、リゾート感覚も愉しめます。
【引戸】
室内は、すべて引戸です。
引戸はドア―に比べて存在感がなく出入りもスムーズですし、開放すれば室内が広く使え通風にも役立ちます。締め切ったときも扉の周りの隙間で換気も出来ます。但し、遮音には少々難があります。
【道路から車椅子が使える
西側に庭までの通路を確保してバルコニーから出入りすることを考えました。しかし、必要が無いかもしれません。皆、スポーツ好きの行動派なので。
【車2台の駐車スペース】
玄関ポーチ横に一台を駐車、庇が被っています。予備の為に道路に並行する形にして二台目が停められます。
勿論、太陽エネルギーを有効利用するOMソーラーの家です。
第一回 叶えられたこと
この計画に当たって、一枚のA4にコンパクトに要望がまとめられていました。
そこには、「基本的な考え方」と「全体イメージ」に分けて記載されていました。
「基本的な考え方」
Ⅰ、リタイア後の生活を楽しむために、リゾート感覚・余暇を盛り込む
スキーシーズンは毎週ゲレンデ通い、スキー板が6基。ご主人はゴルフも楽しまれバッグも複数お持ちです。皆さん余暇の時間をしっかりと確保されています。
スキー板、ゴルフバッグが直ぐに取り出せる玄関土間に続く収納を確保し、荷物の積み下ろしを考えて玄関ポーチには屋根を掛けました。
ご主人のたっての希望で、南西角に設えた桧板の壁、天井の浴室からは庭とデッキが眺められます。
のんびり、ゆったり。
Ⅱ、リタイア後の生活に無理がないこと
設計段階で試行錯誤をしましたが、こだわりのOMソーラーや全開放の木製引き窓は残こしました。全体予算の振り分けかたになるのでしょうか。ことによると、投資もしていただいたかもしれません。
Ⅲ、半完成の家 家族構成(体)の変化に適応できること
家は完成しています。一階のリビングに繫がって和室を設けました。この和室どんな用途にでも使用できる優れものです。奥様の趣味の部屋、ごろっとする部屋、お子さん家族が泊まる部屋、そして、体調不良になったらベッドを置いて・・・。
「全体イメージ」は、つづく