自然と暮らす家族の巣
第三回 「プランと温熱環境」
一階に下りたところに、多目的コーナーがあります。ここは、学習、遊びそして書斎コーナーとして家族の第二のリビングでしょうか。椅子に座ると擁壁と盛土の地面が目の前に迫ってきますが、二三年経てば緑に覆われた心地いい空間になるはずです。コーナーの先には個室が並んでいますが、どの部屋からも陽に映える里山の眺望を終日に楽しめるはずです。風の通る敷地ですから日頃は爽やかな風と太陽で楽しんでもらいますが、必要な時は小屋裏の能力4kw(凡そ14畳)のダクトタイプエアコンで全室冷暖房が可能です。エアコンのブーブー風も感じることなく穏やかに過ごせます。
外壁は、二階は赤みがかった着色をした杉板の横張で、一階は幅広のサイデング仕上げにして、横への広がりを考慮した仕上げになっています。
第二回 「里山風景に建つ」
畑、今ではここだけに残るのではないかと思われる田圃、川と雑木の里山の風景を前にして、設計初期からこれをどう楽しむのかがポイントになりました。そこで、この素晴らしさをすべて見せることもできますが、敢えて里山を切り取って楽しむことにしました。
敷地方位が南西に振れていることと、道路面と同じ高さの南側敷地は一段高く、そこに家が建つと冬は陰に隠れてしまう心配があります。しかも、こちらの建物は敷地が低いのですから。駐車場から敷地のもっとも低い平坦地に向かって長い階段が敷地を二分するかのように設置されていました。そこで、建物を階段から東に設けることにして、車庫から玄関までを階段上にブリッジで渡すことにしました。建物の配置を東にずらして冬至の太陽が二階に差し込むようにしました。
第一回 「敷地に特徴あり」
高低差が一階分以上の4.3mもある北側傾斜地で、しかも平坦
地がほとんどない敷地でした。しかし、北と東には鶴川の原風景である里山が残る素晴らしい敷地です。この点に施主ご夫妻は大いに気に入ったそうです。
私どもに来られる以前に設計事務所と工務店に計画を依頼されていたそうですが、予算と計画に一つ乗り気になれなかったそうです。
我々のご提案も予算を満足するものでは有りませんでしたが、何とか工夫の余地ありでスタートすることになりました。
崖地に建つ家族の住まいが今回の計画案の元です。地盤改良も
斜面での作業になり、業者も工夫を重ねていました。
基礎工事を請け負った鳶も斜面ゆえに泥の流失に苦労をしたと
話していました。