密集地 つどうくらし
第三回 「広く」
個室の引き戸を開ければ、連続性が出てきます。日頃は、オープンな暮らしで家族の気配を感じられます。土間になっている玄関は、広いホールで突き当りに収納を設置、隠したいものはここに入れて、あとは整理しておけば出しておけます。
二階は、水回りを除いてワンルーム。アイランド式のキッチンをメインに家族が心置きなく集える場になっています。天井は、屋根を支える垂木がリズムを刻む勾配天井の空間になっています。
ロフトに設けたエアコン一台で家を丸ごと冷暖房しています。エアコンからの吹き出し風と音は、ダクトを主だった部屋に増すことで、顔ばかり熱くなる不快感を解消しています。
第二回 「開口と採光」
隣地はすぐ家
密集した狭小地で周りを気にせずに通風、採光の確保を図りました。2階リビングの先に物干しを兼ねたバルコニーを設置、しかし、隣地には窓が近接。バルコニーの手すりを1.8mほどの高さの目隠しを窓の前に、隣家にも圧迫感がない配慮をして設置しました。道路側には3つの小窓でアクセントと通風、採光を取っています。
個室が並ぶ1階は防犯も兼ね窓は小さめに設け、部屋に囲まれた空間と考えた設計にしています。寝室、勉強と落ち着いた、洞窟とは言いませんがそんな場所にしています。
第一回 「密集地に建つ」
庭か車か
家族で出かけることが多く、車は必需品で駐車場の確保が要望でした。
家も、敷地境界から離れは50㎝で建蔽率もいっぱいの計画になっています。一階は駐車場を確保して、眺めを望める居間を持つ二階をその上に張り出すキャンテレバーの構造で、広さを確保しました。
庭スペースは、残念ながら確保できませんでしたが、玄関アプローチと駐車場の先の隣地との境にシンボルツリーを植えました。緑に牽きつけられて路地奥に建つ家に吸い込まれていくことを思っています。南側には3階建てのアパートが建ち、窓も憚れる環境で、光の確保をメインにしました。