通り抜ける家
出典:kaki no tane vol.16 より
「通り抜ける家」K邸
シンプルライフと雨水タンク
梅雨が宣言されてから雨が降らない日が続きましたが、訪れた日は久方振りの雨。取材の目玉、雨水タンクの活躍に期待して伺いました。
ところで世間では家は二回建てたくなるとか、建てて一年もしないうちからリフォームのことで頭がいっぱいで、なんて方もいらっしゃるそうです。
「うちは年々、これでよかったと感じるんです。」と仰ってくださるKさんの言葉に感激しました。「シンプルで開放的だから掃除もし易いんです。」乗馬をなさるおばあちゃまが送ってくれた蹄鉄や、新潟のおじいちゃまの家から譲り受けた古い家具がいい味わいを添えています。これらの品々が生きているのには、物を増やさない暮らしの工夫が感じられました。壊れた時をチャンスと捉えるかのように、「カーナビは地図に戻しました。炊飯器は土鍋に。早く炊けて、すごく美味しいんです。」
電子レンジもやめました。近くにスーパーができたので冷蔵庫を小さくしようかと思っているんですよ。ソファーもいらないかも。」すっきりとキッチンも片付いていました。ここに「水筒が干せて助かります。」と奥様。
家づくりの過程をしっかり見ていたお兄ちゃんは、レゴを使って池やすべり台など夢のあるおうちの設計遊びが大好きです。今はリビングに勉強机二つが向い合せに置いてあります。二階は現在プレ個室として子供たちそれぞれテントの中に布団を敷いて大喜びで寝ているんだそうです。不思議なほど竣工時よりも庭も家もゆとりを感じました。
竣工から4年経ったK邸。建てた時から計画していたOMの貯湯槽を昨年、補助金制度を利用して雨水タンクを一昨年取り付けました。「自分へのクリスマスプレゼントなんです。せっかくいい家をつくってもらったので、いいものを付けたいな、と思い購入しました。こんなに大きくなくてもよかったんですけどね。」とご主人。「たっぷり貯められるので、外の洗い物に使ったり、子供が水遊びしたり、水やりも心おきなくできます。(食育をかねて育てている夏野菜が実をつけ始めていました。)化学肥料から生ゴミ堆肥にしたら枯れなくなったんですよ。」と奥様。早寝早起きのK家では、ジューンベリーを朝摘んで、お庭の水やりをするのが初夏の日課だそうです。庭は敷地面積の7割以上とゆったりしていて、デッキには葡萄ときゅうりのグリーンカーテンがかかっています。そしてグリーンカーテン脇にはワイン樽製の鵜雨水タンクがぴったり絵になっていました。「本当はもっと目立つところに置きたいんですよ(笑)」とご夫婦。
オプションで付けた手押しポンプは子供たちにも大人気。川を普請する遊びにはまっていて、タンクを水源に深い溝が庭に彫り込まれています。
「ナチュラルにうまいところに樹を植えてもらいました。でも、もっともっと良くしたいですね。木陰を沢山つくりたい。アイアンのアーチなんかを使ってトンネルも作りたいんですよ。」傘を片手に庭を慈しみ眺めていらっしゃいました。
すっきり空間に時間軸を織り込んで、Kさんご家族楽しんでいますね。