建築家としてもっとも必要な能力は「人を巻き込む力」ではなかろうか。そう思わされるお話でした。なにより、学生時代から巨匠な今にいたっても圧倒的な熱量による仕事や、まったく妥協のないいきざまは説得力がありました。建築業界の生々しい内情や学生時代によく見聞きした建築家たちのウラ話には「へぇ」がたえませんでした。
黒部市「コラーレ」が竣工したてに訪れてみて、交通の便の悪い、周辺に何もないところに建っていながらも、日常的にいろんな世代の人が集まって、楽しんでいるのを垣間見て「ハコモノ」でない公共建築のあり方について考えさせられたのを思い出しました。 (小栗克巳)