アーノンクールのことを少し知りたいと、調べ始めたら、
彼のことどころか、クラッシック音楽というものさえ、
全く全然、理解していないことに、打ちのめされた西野です。
クラッシック音楽というものを、単なる1つのジャンルとして、
表面的にしか、捉えていなかったのです。
つまり、17,18,19世紀に生まれた、馴染みのある数々の名曲が、
そのまま普遍的に、昔から、同じように、変わらずあるものだと、認識していました。
今聴くこの名曲が、17世紀も同じように、演奏されていたと・・・
でもネットの中で、”音楽は瞬間の芸術だ” という言葉を見つけた時、
ガァ~ンと、脳天に一発食らったとでも言いましょうか・・・
冷静にそう考えてみれば、自分が愛して止まないBeatlesの音楽でさえも、
1960年代から現在に至るまで、
ステージ、レコード、CDと、同じ音質、曲調であるわけではなく、
どうしてその根本的なことを忘れていたのかと、愕然とした次第です。
そういうことを踏まえてみると、いかにアーノンクールが、
クラシック音楽界に革命をもたらしたかと言われている所以が、
重みを増して理解出来ました。
「古楽器演奏のパイオニアのひとり」、
「モダン・オーケストラによるピリオド・アプローチ(ピリオド奏法)の創始者」等、
賞賛されているアーノンクールですが、私が一番驚いたのは、
昨年12月5日、直筆で、
「聴衆のみなさまへ。私の身体の力が及ばないため、今後の計画を断念いたします」
と引退を表明し、その3ヶ月後の今年3月5日に亡くなったということです。
プロ中のプロ・・・ずっと戦い続けてきた人、私はその事実を知った時、
ふるえおののき、鳥肌がたちました。
松家仁之氏が、
「先日亡くなった、わたしがもっとも尊敬する音楽家であり、指揮者である、
ニコラウス・アーノンクールについてならお話ができる気がします。」と、
おっしゃってくださいましたが、弊社においてのこの講演は、
クラッシクファンのみならず、非常に非常に貴重な、
とてもありがたいことと、今、再認識しております。(西野博子)