12/3(土)、弊社可喜庵にて、小説家 松家仁之氏 の講演、
「アーノンクールの旅」 が開かれました。
事務所前に貼ってあったその表情を見て釘づけになり、
会に参加された方もいたほどです。
その風貌は厳しく、そして内容はクラッシクとあって、
さぞかし、お堅い、難しい話しかと想像、
いえ覚悟しておりましたが(笑)、
松家先生の柔らかい声のトーンに包まれて、
人間アーノンクールに、僭越ながら触れることが出来た、そんな講演でした。
手描きの実質の楽譜を探して、原点から掘り下げていく姿勢・・・
そのベースには、オーストリア、グラーツでの空襲、
戦争体験があったのでは、と松家先生はおっしゃっていました。
失われてしまったヨーロッパを、音楽を通して取り戻そうとしていたのではないか・・・
また、たとえ信じる具体的な宗教を持っていなくとも、
信仰することがなくとも、
”祈る” 気持ちは、万人に共通する行為だとおっしゃっていたことも、心に響きました。
”祈る” ことで、バッハとか届かないものがわかっていく・・・
万人に共通する行為 その ”祈る” 気持ちが、
私達の心奥底に、各々に存在するからでしょうか、
講演が終わってから、参加してくださった方々と先生とのディスカションは、
とても素晴らしいものとなりました。
会話を通して、みな、それぞれの人生の歩みを垣間見ることが出来、
普遍的なものを感じました。
先生は、これからの世の中を、
戦争の記憶がない人ばかりいることの恐ろしさ と表現なさっていましたが、
心に残った参加者達の会話を想う時、私達、そうでもないじゃん・・・ とまさに ”祈り” ました。
人間アーノンクールの講演、聖夜の月にふさわしい講演でした。(西野博子)