第62回式年遷宮から一年足らずが経過した伊勢神宮に出かけてきました。まず、豊受大御神を祭る外宮に参拝して、内宮へ向かうのが正式なコースと聞かされ近鉄宇治山田駅で下車しました。この駅は1931年に完成した中央の駅舎とコンコースが鉄筋コンクリートの三階建てで左右に伸びる駅ホームは映画セットの立面で、看板建築です。コンコースの吹き抜け天井と細部のデテールは趣のある心地よい空間になっています。当時近鉄が社運をかけた心意気を感じる建物です。
駅から門前町山田を散策しながら外宮正宮へと向かいました。年間来場者数3000万人を超えるデズニーランドには及びませんが、1000万人の参拝客が訪れるそうで、平日にも拘らず賑わっていました。警備員に、あまりにも使用されている材が素晴らしいのですべて新規に建替えているのかと聞いてみました。内外宮合わせて125棟すべてが遷宮毎に凡そ11000本の檜材で一新されているそうです。
河崎は、16世紀頃から伊勢神宮門前町山田・宇治へ勢多川を登ってきた物資の荷揚げ場「川の港」として賑わったそうです。昔の趣を残す町並みと、江戸時代から酒問屋を営んでいた小川酒店の建物が「伊勢河崎商人館」になっています。「伊勢の台所」としての繁栄と、各地に販売網を持つ伊勢御師の拠点で日本最古の紙幣といわれ兌換性があり、細工で偽札対策も施された「山田羽書」も展示されていました。ネットワークと繁栄の結果でしょうか。明治生まれの甘味抑えめのサイダーも楽しみました。