家族の時間と庭を育む・かきのたねvol.32より

ゆとりある庭空間に、内と外のつながりをもつ小さな家をつくりたい。
Mさんの想いが詰まった住まいを、 緑が茂る2年目の初夏に訪ねました。

街並みに潤いを与える佇まい

「大きな家より、庭を育てられるゆとりがほしいと思っていました」と話すMさん。奥様と中学生になる息子さんの3人家族で、2年前にマンションから今の家に住み替えました。

土地探しを始めたのはさらに7年ほど前で、鈴木工務店とはその頃からのお付き合いです。
実は、Mさんは建築・不動産関係のプロ。
それでもなかなか希望の土地に巡り合えず、一時中断を余儀なくされましたが、ようやく、眺めの良い高台の角地に理想の敷地を見つけ再スタートを切ることに。
時間が開いたことで、生活スタイルや要望がクリアになって、鈴木工務店との家づくりもスムーズに進んだと言います。
総板張りの外壁もMさんのこだわりで、「経年変化する素材の美しさと、意外と知られていないけれどメンテナンスのしやすさに惹かれました」と話します。

建物と道路の間には十分な余白があり、Mさんが世話する草花や樹木で彩られています。
道行く人もつい足を止める潤いのある佇まいです。

小さくても ゆったり 豊かに

M邸は、70坪余りの広々とした敷地に対して、建物規模約26坪というコンパクトな計画です。しかし、室内は個室と水まわり以外に間仕切り壁がなく、数字以上に広々と感じられます。とくに、庭とデッキとつながる1階LDKは、家族の集いの場として十分なゆとりを得ています。

ダイニングを中心に、庭を眺めるキッチンとごろ寝ができる畳リビングがつながります。
中学生になる息子さんは、個室ではなくダイニングで勉強するそう。
Mさんが帰宅して畳でくつろいでいてもほどよい距離感が保て、同時に時間と空間を共有している安心感に包まれるようです。

日頃お仕事で忙しい奥様は、「やる気の出るキッチン」を要望しました。当初はアイランド型を想定しましたが、設計の提案は庭を望む窓に面したL字型でした。」あれ?と思いましたが、これもありだなと。ざっくばらんな打合せもいい思い出です。
実際、動線が短くて使い勝手がいいんですよ」と奥様。暮らしが落ち着いてきたこの頃は、インテリアを充実させたいそうです。

小さくとも、内と外がつながり、家族3人がそれぞれの居心地のいい場所を見つけて過ごせる家。Mさんが想い描いた暮らしが、確かに育っていました。


KAKI NO TANE vol.32 「暮らしのスタイル」よりバックナンバー