縁起のいい「常盤木」

昨年暮れの可喜くらし『時間のデザイン―未来のコミュニケーション』に登壇いただいた、国東時間株式会社・松岡勇樹社長の作品が、青山スパイラルホールに1月22日まで展示されています。

可喜くらしでは「デザインが個人や集団が安心して生きられること、死ぬこと、土地と時間、倫理観の在り方」を作品と仕事を通してお話しいただきました。

今回の作品は、可喜くらしでもスライドにてご紹介いただいた「老松」で、日本庭園に見立てたアートインスタレーションとして展示されていました。この作品は、能舞台の鏡板の松を、2次元のパーツを3次元に立体化したアート作品で、「どう表現するか、どう構造的に作るか、幹の表現は、松の葉はどうする」と心血を注いだ作品とお話されていました。迫力のあるたたずまいに、杉の合板をカットした数えきれない数のピースの組み合わせから成り立つ松の幹のディテールや、芯に杉の合板を使った松の葉(和紙を割いて手で一本一本形に分ける)の気が遠くなるような作業を確認できました。

「様々な日本の美意識を、それを具現化した服を組み合わせて展示し、歩きながら自然とmatohuの世界観に触れる」とする「motohu日本の眼」展にて。スパイラルに沿って昇り、着物地を再生したと思えるシンプルな衣服を眺めながら、「老松」を垂直方向からもじっくりと鑑賞できました。

常に葉が茂り縁起がよいとされる「常盤木」の松に出会えた2020年のスタートです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。(亨)