江戸時代の天竜川氾濫をきっかけに植林が始まった「天竜杉林」。人工の日本三大美林の一つですが、ここを訪れた時、黄色い花粉が風に舞い、墨絵の世界を実体験しているかのように天が黄色に染まった光景が忘れられません。
戦後に植林した杉が成木になり花粉を飛散させた、高度成長期の1970年代から花粉症がひどくなっていき、1988年にはNHK が花粉情報の放送を開始しました。
平均的な人間は、一生の80%以上を室内で過ごすそうです。健康被害に遭わないためには室内の空気をきれいに保つことが大切で、換気が重要です。多くの家庭では、換気扇がキッチン・トイレ・浴室に設置されています。住宅の居室では、1時間あたりの換気回数が0.5回以上の換気量を持つ換気設備を設置することが、建築基準法令で義務づけられています。空気を換気しても、花粉や埃などの侵入は極力抑えたいものです。
5〜10μmサイズの花粉の多くは侵入しても玄関内の空気溜りに落ちてしまいます。あるクリニックでは、コートを診察室に持ち込ませないで玄関ホールに置くようにしています。家庭でも外でコートの埃をはたいて脱ぐ習慣を身に付け、居室との境に扉を付けて風除室を設けることで、一つの花粉対策になります。また、給気口にはフィルターを設置することをおすすめします。
(MY TOWN 2017.03より)
2020年3月現在は、新型コロナウィルスの影響でマスク不足が深刻ですが、家の中では花粉症で苦しむ人も少しでも楽に暮らせるように、できることを今一度確認する気持ちでコラムを紹介しました。(編)