3--CASE2マンション実例
住まい手が叶えたかった暮らしに注目しながらリノベーション実例をご紹介。CASE2の今回は、マンションリノベです。(SUZUKIのリノベーション3-CASE1戸建てはこちら)
「ふたりの広々リノベ」
築38年のマンションをスケルトンリノベーションしたご夫婦の住まいです。長年、家族5人で4LDKの間取りに住んでいましたが、数年前にお子さんが皆独立。リノベーションでは夫婦二人の生活を考えたプランと、冬は家中が暖かく、夏は南北に風が抜ける心地よい空間を求めました。
●リノベーションを決断するまでのポイントは--リノベーションの完成見学会に参加し、実際の空間と仕上がりを確認して納得できたこと
リノベーションを考え始めてから決断するまでには4年ほどかかっています。その間、リフォーム会社を訪ねたり、新築の完成見学会へ参加したりと動いてはいましたが決め手に欠けたそうです。最終的に背中を押したのは、鈴木工務店のリノベーション完成見学会への参加。やはり百聞は一見しにかず、です。マンション空間がどれほど変わるのか、木の仕上げの雰囲気、質感と空気質なども確認できたといいます。
また、見学会は設計者に直接はなしを聞く絶好のチャンス。事前に質問項目を用意しておくことをおすすめします。たとえば、リノベーションでの改善ポイント、要望をどのように実現したのか(温熱環境、收納、動線、間取りなど)、マンションでの注意点(音の問題、水まわりの改修、工事の進め方、規約の確認、隣家との関係)など気になることをどんどん質問してください。
●マンションリノベーション、はじめの一歩は?--既存の状態、マンション規約の確認から
既存建物の状態確認は、戸建て同様に大前提です。加えてマンションは共用部(玄関扉やサッシ、構造躯体)と専有部(住居室内部)が明確に分かれています。そのため、何ができて何ができないのかは、マンション規約を含めて確認する必要があります。規約によっては水まわりの移動に制限があったり、床材(の防音等級)が定められていたりする場合もあります。
また、構造の壁や梁は撤去できませんので、間取りの変更を考えている場合には購入時の図面を確認しましょう。手元にない場合には、マンション管理組合の資料をあたったり、建築のプロに住まいを見てもう方法もあります。
●制約のなかでも、満足できるリノベーションは叶います
今回の住まい手の要望は--たびたび集まるお子さんたちご家族とゆったり過ごせる空間のイメージから始まっています。お子さんたちとその家族が全員集合すると総勢14人にもなるそうで、間仕切りのない広々とした空間に居心地のよい場所をつくることを求めました。
その他、バリアフリー、風通しのよい間取り、キッチンを中心にした回遊動線、そのほか、住まい手の使い慣れた扉付き造作收納の多用(收納の癖を確認し計画に反映することをおすすめします)や断熱改修への要望も大事な要望です。しかし、あらゆる要望の根っこにあるのは、常に暮らしのイメージであり、住まい手はこのイメージにブレがありませんでした。言い換えれば、その他の要望は、暮らしのイメージを支えるために必要かどうかで精査されていきます。
制約の多いマンションでも、工夫次第でできることはたくさんあります。諦めずに、まずは暮らしのイメージをもちましょう。そして、つくり手にどんどん伝えてください。web画像や雑誌の切り抜きでも結構です。イメージを伝える準備をしていく中で、自分たちにとって大切なことや好みが改めて見えてきます。
たとえば、制約のなかにマンションの階高がありますが、天井仕上げを撤去して躯体現しの仕上げにできれば空間の高さが確保できます。結果、バリアフリーを叶えるために床を少し上げることも可能になります。窓のない洗面室の場所移動が無理でも、内窓を設けたりウォークスルーで行き止まりのない空間を計画すれば開放感が得られます。
暮らしのイメージから希望のリノベーションを実現した「ふたりの広々リノベ」は、blog「暮らしのスタイル」で詳しくレポートしています。また、今回のリノベーションのきっかけとなった完成見学会は「築48年の団地リノベーション」です。Worksからご覧になれます。