家の表情は、「窓」の形・大きさ・素材・色で大きく変わります。窓が人の顔で言う「目」だとすると、窓上の小庇は「まつげ」。まつげを長くしてアイシャドウでアクセントを付ければ、顔の表情がより一層印象深くなります。庇は雨水や日射を防ぎながら、家の表情もつくるのです。
地球の中緯度帯に属する日本では、暮らしやすい環境をつくる装置として庇が有効です。夏の南中時には水平面から約80度の角度で、冬は約30度の角度で日射が差し込みます。夏に室内が熱くならないようにするには、日射を室内に入れないことが一番大切。夏は開口部の高さの1/3程度の庇の出幅が必要で、平屋の場合は1mになります。
敷地条件にもよりますが、最近は庇の出幅が小庇程度かゼロの家が多く、日射遮蔽が十分に行われていません。また、東側や西側の庇は、朝晩の斜めからの低い日射を遮ることができません。同じ素材で遮熱をするとしても、その取り付け位置が建物の内か外かで、効果に3倍以上の差が出ることもあります。最も有効な位置は窓の外で、方位によっても対策が異なります。
夏の対策は、簾・よしず・格子・ブラインド・グリーンカーテン・雨戸など、昔からの知恵に学びながら工夫が必要です。手が届きにくい場所は、室内側に蜂の巣の断面に似たハニカムスクリーンを設置するのはいかがでしょう。夏の対策はもちろん、冬の対策も大事です。(MY TOWN 麻生、掲載コラムより)