木の風合いが増してくる
先日、ご入居後約1年半のお施主様の住まいを訪問しました。暮らしが始まってからしばらく経ち、竣工時よりも木の家の風合いが増していました。
とくに、杉の板張りとダークグレーのモルタルを張り分けた外壁は、竣工当初はモルタルが強く、杉板は真あたらしい感じで、存在感はありながらそれぞれが別個の表情にも見えていました。その後、紫外線や風雨にさらされ、杉板は風合いを増し、モルタルは色がやや浅くなり、調和のとれた外観に育ったのです。
ところで、よく「木の外壁はメンテナンスが大変なのでは?」と質問されます。身近なところでは、神社仏閣に見られますよね、木の外壁。メンテナンスしているとして、古いものだと100年単位で建っていますが、朽ちてなくなるということはありませんよね。
基本的には、神社などの木仕上げは無塗装です。(ペンキ塗りのPOPな神社仏閣があったらすみません、、、)
鈴木工務店の家も、外壁板張り仕上げの場合、基本的には無塗装あるいは対候性を高める塗布材(ウッドロングエコ)を施します。ちなみに、これは塗料ではありません。なので塗膜の劣化による塗り替えの必要はなく、塗装仕上げよりもメンテナンスの手間が少なくて済む場合がほとんどです。
もちろん、外まわりの木部の経年変化を「劣化」ととるか「風合い」ととるかは、住む人の価値観によります。ただ、神社仏閣って、まぁ大抵は美しいですよね。紫外線が軒をよけて射してくる東西面は銀白色に変化していくし、北面は風通しによっては黒ずんでくることもありますが、部分的な修繕が可能なので、気になる場合には傷んだところだけ取り換えることもできます。
ということで、今回の住まいの訪問で実感したことは--
木の家は完成した瞬間が一番美しいのではなく、
時とともに育ち、風合いを増していく
ということ。いつも、家づくりを検討されているお客様にもお話ししているのですが、実際の建物で改めて確認できました。
室内の雰囲気もとっても心地よく、住まい手のセンスが存分に生かされた空間になっていましたよ。暮らしが入る前は、大き目の吹抜けにゆったりとした空間はがらんどうに感じられてしまうのですが、広めの床面に居場所ごとのラグを敷いて、空間の密度と居心地を高めていらっしゃいます。ご夫婦ともに海外でのお仕事も多いことから、独自のセンスと暮らしのスタイルをお持ちなのが伝わってきます。
詳しい暮らしのレポートは、季刊誌『かきのたね』秋号でお伝えします。おたのしみに。(畑野)