家じかんを「のびのびと」・季刊誌かきのたねvol.39より

家族4人。扉は3枚のみでのびのびと暮らす、元気な子育て世代の住まいをたずねました。

街並みに開くおおらかな佇まい

「 自分たちが家を建てるなんて考えてもみなかったです。実家は遠方だし、ずっと賃貸でいいかなと思っていたので 」と話すのは、育ち盛りの2 人の息子さんと暮らすT さんご夫婦。家づくりのきっかけとなったのは、息子さんの同級生家族の住まいでした。

「家に遊びに行ったら、普通と違うというか。木の香りとか、建具の手触りとか。窓が里山風景に開いているせいか、コンパクトな空間なのに広く感じるし。なんだか家を建てたくなりまして 」と奥様。その友人の家を建てたのが鈴木工務店でした。

以前は賃貸マンションで、幼い子どもたちの足音さえ、階下への配慮から気にする生活。「 もっとのびのびと暮らせる家がほしい」というのが、一番の希望でした。
運よく学区内に土地を取得。広い交差点に程近く、総杉板張りの  4外観は地域のランドマーク的な存  在となっています。通りに面してすべてを塀で囲わず、庭の樹で外から の視線をコントロールするおおらかな仔まいで、街に潤いを与えてい ます。

上下階、ほぼワンルームの、ぐるぐるまわれる家

延床面積約100㎡ の家は、L D K を配した1 階も、寝室と子どもスペースのある2 階も、水まわり以外には扉のないワンルーム状の間取りが特徴です。1 階のデッキテラスと室内を行ったり来たり、ぐるぐる走り回る子どもたちを見守るご主人は、「 まぁ、目論見通りですね 」とほほ笑みます。

公園に近いこともあり、息子さんの友達がたびたび遊びに来るそうです。畳間のあるリビングで遊ぶ子どもたちの傍らで、ママたちは造り付けの長いキッチンカウンター兼ダイニングテーブルでお茶をするのが定番だとか。

そのほか、玄関とキッチンは間仕切り兼牧納スペースを通る裏動線でつながったり、2 階洗面室のすぐ脇に室内干し スペースと バルコニーを配置したり、効率的な家事動線にも配慮。仕事と家事、子育てで忙しいご夫婦の毎日を支えています。

この開放的な間取りを快適な室温に保つのは、小屋裏に設置したダクトタイプエアコン1 台です。もちろん、建物の気密·断熱性能を確保したうえで、冷暖房のダクティングを計画しています。「冬は間欠運転ではなく暖房を19.5℃設定のエコ運転で一日中回しています。それでも、電気代は月5 ~6000 円<らいです。夏は日除けの外付けシェードを降ろして、主に寝るときだけ冷房をつけます。エアコンの冷気が好きではないので、うちは28℃設定で十分かな。夏も電気代は 5000 円前後ですよ 」と奥様。住宅性能と光熱費の関係も「 目論見通り 」のようです。〈 まちびと・2019  春号より取材( 株 )Vsi oin  Des gin  〉

まちびとのインタビューから約1 年後の2020 年5 月。世界中がステイ・ホームだった

在宅時間がぐっと増えた中、奥様が話してくれたのは、「毎朝1階の障子を全開にして、庭を眺めるのが至福の時です。今年のGWは庭いじりと家の掃除に十分時間を充てられました 」という日常。もちろん、休校や在宅勤務など、これまでとは違う日々に戸惑うことはありつつも、当初より住まいの内にも外にも求めたおおらかさのおかげで、T さん家族はリラックスした家時間を過ごしていました。

KAKI NO TANE vol.39「暮らしのスタイル」よりバックナンバー
※バックナンバーは家づくり、リノベーションをご検討中の方にお送りしています