木材は節の出方や材の採り方で呼び名が違います
大小の節が多く見られるものの、使用や強度的には全く問題がなくフローリングや構造材に使われる節あり、生節(いけぶし)の一等。
コートのボタン(20mm)くらいの大きさの節が1m間隔に1個ずつ程度点在する小節(こぶし)。
薬の錠剤(6mm以下)くらいの大きさの節が1m間隔に1個ずつ点在する上小節(じょうこぶし)。
さらに、鉛筆の芯程度の極小の節が2m間隔に1個ずつ点在する特選上小節(とくせんじょうこぶし)や、節のない無節(むぶし)と続きます。
材の採り方では、化粧面が白太のものを白。白太と赤みが両方出ているものを源平。赤みのものを赤と言います。赤みは木の芯に近く、耐久性が高いことから、無節の赤は最高級品とされます。
木の母子手帳?で生育を管理する林業の仕事
鈴木工務店では、構造材に無垢材を使う住宅を手掛けています。(ケースバイケースで集成材も仕様しています)
実績としては、江戸時代から育林事業を行う紀州和歌山の老舗・山長商店や、天然乾燥を貫く三重のもりずむの木材など。
今回は、10月31日(土)に建物完成見学会「つつむ つながる」を行う家にて、ふんだんに使用している山長の木について紹介します。
山長には、江戸時代から続く「山林収穫簿」があり、森で育つ木々の1本1本の履歴書として大切に保管されています。
はじまりは苗床で種子を育てるところから。もはや、履歴書というより母子手帳ですね。種から苗木を育てるまでに2年かけるのですから、親が植えて、子が育て、孫の代になってようやく収穫されるというような手間と時間のかかる仕事です。
近年問題になっている山の荒廃は、手間のかかる林業の担い手が減っていることにも大きく関係しているわけで、山長をはじめとした林業家の仕事は、今後もっと評価されなくてはいけないですよね。
木の家が生む、家への愛着と街並みへの潤い
さて、長年の経験と実績に基づいて育てられた杉を、「つつむ つながる」では、構造材と外壁材にも使っています。外壁は、赤みを含む上小節です。ちなみに、同じ杉でもどのような材を使うかは、コストはもとより、山やがその時に抱えている、あるいは勧める材の状況にもよります。ある意味ご縁ですね。
ご存じのように、木は時と共に表情を変えていきます。今回の敷地は住宅街の角地ですからよく目立ちます。住まい手が家に帰ってきたときの我が家への愛着とともに、街並みに対しても潤いのあるたたずまいとして皆に親しまれる家となることを願っています。
「つつむ つながる」の完成見学会は10月31日(土)です。予約制でのご案内となります。詳しくはこちら。 (畑野)