ご報告がすっかり遅れましたが、可喜くらしのレポートです。10/30、ようやく可喜くらし2021-2022の第1回を開催することができました。コロナ禍の緊急事態宣言でずっと延期を余儀なくされてきましたが、久しぶりに茅葺きの可喜庵に近隣の方々が集まってくださった風景に、少し日常が戻りほっとするようなあったかいような気持ちになりました。
そんな第1回の様子をお伝えします。
今期はまちづくり、くらしごとのおはなしです
今期は第1回の玉川学園地区まちづくりの会と、2月に開催される建築街歩きなどを主宰する鶴川daysによる地域の建築家鼎談など、まちとくらしについてのお話が続きます。
第1回の今回は「坂と階段の緑豊かな郊外住宅地が持続可能であり続けるために--」と題して、玉川学園での実際の取り組みの様子やこれからの可能性についてまちづくりの会が報告し、参加者とディスカッションを行いました。
地形のはなし、まち文化のはなし
玉川学園地区まちづくりの会からコアメンバーである建築家の木村真理子さん、子育てサロンや子ども食堂を運営する秋田史津香さん、元行政マンで建築士の浅黄美彦さんがお話してくださいました。
坂のまちと言われる玉川学園の地形とまちの文化醸成の関係や、住人がまち全体を自分事として考える「縁会議」の成り立ちと想いそして次世代への継承、高齢化や住み替え問題で新しいフェーズに入っているまちの課題と不動産的視点の解決事例、大規模開発で結束するのとは違う住人同士の顔の見える付き合いなどなど--。
個性的な玉川学園のこれまでと今日的な話題ですが、実は多くのまちにも当てはまる、またはヒントになる課題や取り組み、人がつながるモチベーションしてとても興味深いものでした。
課題をよりよいまちのイメージにつなげる想像力と行動力
会の活動報告の中から、ここではレアな成功例として印象深い事例の一部をご紹介します。
変化に富んだ地形を生かす工夫と風情のある住宅が多い印象の玉川学園ですが、高齢化に伴う不動産の売買による街並みの変化は急激で、一住戸の問題に留まらずまちそのものの魅力にも影響を及ぼしているようです。そうした課題解決の一事例として、「街並みを崩さない売り方」をまちづくりの会主導で実現されました。(可喜くらしには買主さんもご参加されまし)
もともと一住戸が建っていた土地を小割にしてビルダーの手による建売が林立するミニ開発を防ぐには、地元の不動産会社とのつながりや理解、なによりまちづくりに関心のある売主と買主のマッチングが必須です。今回、100坪の土地がまちづくりの会を仲立ちに、土地を割らず無計画な植栽の伐採も免れる形で新たな住まい手へと引き継がれることとなりました。木村さん曰く「三方よし(まち並みにも配慮したい売主・買主、まちとよりよくつながりたい地元不動産会社)」の関係が構築できた事例です。可喜くらしに参加された買主さんは、これから建てる家をまちづくりの会でサポートしている「ご近所さん会・お庭カフェ」のように地域に開いた家にしたいと話していらっしゃいました。
そのほか、空き家を地域住人のワークショップの場としても活用した「まちの縁側」の取り組みなどを紹介。まちの課題を単に処理するのではなく、「たのしむ」方向へ導く想像力と行動力が、玉川学園のまちが魅力を保ち続ける源であるように感じました。
詳しい取り組みや活動の履歴、リアルタイムの様子などは玉川学園地区まちづくりの会のSNSで発信していますので、ぜひチェックしてみてください。
※可喜くらし2021-2022第2回2/5(土)『建築家と考える鶴川の楽しみ方-建築と暮らしが街を変えていく-』の詳細はこちらからどうぞ