ゆっくりと・かきのたねvol.44 町田市 根岸の注文住宅

愛犬との暮らし、夫婦のゆったりとした時間を育む住まいを紹介します。

広い庭に必要十分な住まいの器--注文住宅で叶えた理想の暮らし

見通しのいい北東の角地に、ゆったりとした下屋と木塀を巡らせたKさんご夫妻の家があります。竣工から1年と数カ月ですが、入居後にご自身でつくり上げた庭には芝生の緑と樹木がしっかり根付いていました。

北側に遊水地が広がり、南側には隣家が迫る立地です。東西に長細い約72坪の敷地に建つ家の建坪は約26坪と、あえてコンパクトに抑えました。角地寄りの敷地東側に建物を配置し、車庫と一体の下屋に守られたエントランスを設置。国産杉の柱梁に支えられた下屋は、離れた場所からでも確認できるほど木の持つ存在感を放っています。

5年越しの想いをかたちに--土地探しからの家づくり

夏涼しく冬暖かい家で、「(夫の)冷え性が改善してきたんです」と奥様。今でこそ理想の暮らしと健康を育んでいるKさんですが、実は土地探しからの家づくりでは苦労もありました。

「家もだけど土地にもこだわりがあったからね」と話すご主人。当初からエリアを絞り、ドッグランになる広くて平坦な敷地を探し続けて5年かかりました。「居住エリアを絞ったら、地元の不動産会社とまめに連絡を取り合う事かな。2週間に一度くらいはね、放っておくと関係も薄くなっちゃうから。あとは、土地を探している間に完成住宅をたくさん見ること」と土地探しからの家づくりの肝を教えてくれました。Kさんがこの5年で参加した鈴木工務店の住宅見学会は20回超えです。その間、住まいのイメージを膨らませ、作り手との信頼関係やコミュニケーションも家づくりが本格化する前に育まれていきました。

家全体が穏やかでここちよい--気密・断熱性能を高めた開放的なプラン

正方形の平面をもつ家は、1階が寝室と水まわりで、2階に北側の景色を眺めるワンルームのLDKが広がります。勾配天井の下にロフトがあり、全館を冷暖房するエアコンが1台収まっています。冷気は2階天井から階段吹抜けとダクトを介して階下まで降り、暖気はダクトで1階床下へ送り、床の吹き出し口から立ち昇る仕組みです。

間仕切りの少ない開放的な空間は、夏は冷房27℃、冬は暖房23℃設定で過ごすそう。エアコン1台で家全体をまかなえる気密・断熱性能ですが、冷え性対策と趣味を兼ねてリビングに薪ストーブを導入しています。

愛犬のユリアちゃんは、季節ごとに玄関土間や2階のソファなど居場所を自由に変えているとか。もちろんご夫婦の居場所も、2階のリビング脇とキッチン脇にそれぞれ確保。TVも各人専用を所有して、互いに気配は感じつつも自分の時間と空間を大事にするお二人のライフスタイルが表れています。

暮らしに合わせてゆっくりと--庭づくりはDIYで楽しみながら

広い庭のシンボルツリーはバナナの樹。以前の住まいから移築したものですが環境に適応して元気に育っています。中低木や草花は緑化センターなどでKさん自ら選んで植えました。庭の薪棚もお手製で、手持ちのスチール棚を切り分け屋根をつけています。元々、内装の仕事をされていたとはいえ腕前はさすがのもの。庭へのアプローチもご自身で施工しています。

「一気にやるというよりも、暮らしながら、気づきながらゆっくりやってます。庭づくりも薪割りもシーズンに合わせてね。庭の土間だって、新しい家での犬の動線を見極めて、やっぱりここに必要だよねと」と話すご主人のそばで、「結構きれいにできたでしょ」と奥様も微笑みます。

住まいのこれからについて、「まだまだやりたいことがあるけど、暮らしに合わせてゆっくりとだね」とご主人が穏やかに話してくれました。