暮らしのスタイルーー「おうちにかえろう」 鈴木工務店の季刊誌『かきのたね』vol.49より

木の温もりあふれる2階リビングに家族が集い、思い思いに過ごす。距離感と安心感が心地よい家をご紹介します。

5年越しの家づくり、OB見学で入居後を想像

2022年春の竣工から約10ヶ月経ったSさんご家族の住まいを訪れました。取材日は12月初旬、外は冬本番の寒さです。

「エアコン1台で冷暖房していますが、夏涼しく冬暖かいです。夏は27℃、初冬は20.5℃設定で、本格的な冬はこれからですが今のところは快適です」

かねてよりご主人の実家敷地内に新築する話があったため、土地探しのステップを飛ばして家づくりの構想を開始。5~6年前から鈴木工務店の各種見学会にたびたび参加していました。なかでもOB住宅の見学では室内の温度はもちろん、収納や掃除の仕方など日常の細々としたことも聞くことができ、入居後の暮らしを想像するのに役立ったといいます。

その後も何度か工務店に赴き、「一家団らん」「のんびり暮らせる」などをテーマにプランをすり合わせ、最終的に設計案は4パターン作成されました。そのなかには1階がリビングの案もありましたが「日中でも外からの視線を気にせずカーテンを開けて過ごしたい」との意向から、現在の2階リビング案に落ち着きました。

1階はフレキシブルな間取り、2階はくつろぎの空間に

1階はウォークインクローゼットを挟んで主寝室と子ども室という構成です。約9畳の子ども室は将来的に2部屋に分けられるように出入り口や照明、電気配線を計画しています。廊下にはコンパクトな手洗い場があり、2階まで行かなくても帰宅してすぐに手を洗えます。暮らしの変化に合わせて使えるフレキシブルな間取りが1階の特徴です。

2階LDKは造作のキッチンカウンター兼ダイニングテーブルを中心にゆったりとした空間が広がります。北側に畳の小上がり、南側の長手の壁に共用のデスクを設け、一室空間に多様な居場所をつくりました。

「家族全員リビングダイニングで過ごすことが多いです。テーブルで食事をしたり、小上がりでゴロゴロしたり、長机で編み物をしたり。人の気配を感じながら、それぞれ好きなことができるというのがいいですね」

ソファ家具の代わりに『ヨギボー』を置くことや「壁ではなく段差で空間を区切りたい」というSさんご夫婦の意向を反映したのが小上がりの畳間。ここはご主人の趣味室も兼ねており、コミックや文庫本を収める本棚が備え付けられているほか、床下は大容量の収納スペースになっています。

フロア全体は回遊動線でスムーズに行き来できます。キッチンからパントリー、バルコニー、洗面脱衣室などの水まわりへのアクセスを楽に、家事がしやすいよう配慮されました。
「はじめはパントリーに壁面収納をつくりたかったのですが、鈴木工務店からすすめられて回遊動線にしました。実際に暮らしてみると、家事動線としてはもちろん、家族みんなの生活動線が干渉しないので思いのほか便利です」

家族の気配を感じながら 趣味を楽しめる家

平日夕方になると小学生のお子様2人が次々と帰宅し、2階リビングは一気に賑やかになります。木の温もりあふれる空間は小ぶりなペンダントライトと間接照明でほのかに照らされ、家族団らんのひとときを暖かに演出していました。
休みの日はご主人は読書やプラモデル、奥様は手芸、お子様はゲームや人形遊びといったように思い思いに過ごすSさんご家族。壁で区切らず、おおらかに空間を共有するLDKは、「程よい距離感」と「そばにいる安心感」を両立しています。

text/Rie Shimizu
photo/Shinjiro Yamada
発刊/2022年12月

竣工当初の写真はこちらのWorksの「手をつなぐ」でご覧になれます。