上州二日間の旅ーー白井屋ホテル、アーツ前橋、原美術館ARC、四万温泉、上州富岡駅などなどを巡る

季刊誌『かきのたね』で連載している「徒然とおる」2022年秋号から。徒然とおるの「まち歩き」をおたのしみください。

白井屋ホテル。床を撤去して吹抜をつくった既存棟。

盆休みに、群馬県上州二日間の旅をしました。焼けるような日差し、地面からの照り返し、そして無風の暑さを体験してきました。前橋で300年の歴史があった白井屋旅館が、リノベーション棟と新築棟からなる「白井屋ホテル」として2020年にオープンしました。既存躯体の柱、梁を現し、床を抜いた大きな吹き抜けが印象的な一階レストランで食事をしました。大胆な空間が人気で賑わっていました。近くには、改修されホテルと一体でこの界隈を魅力的にする美術館「アーツ前橋」があります。

原美術館ARC

21年開館の「原美術館ARC」も見学。伊香保温泉に近い豊かな自然の中に、黒い外壁板張りの建物が屋外作品のように配置され、緑の風景を一層引き立てていました。

四万温泉の積善館。映画『千と千尋の神隠し』の湯屋へ続く赤い橋のモデルになった景色。アーチ形窓の1階が大浴場です。

宿は、江戸時代に建てられた日本最古の木造宿屋建築と伝わる四万(しま)温泉の「積善館」へ。赤い橋と木造三階建ての景色を眺めながらの入場です。最近改修工事を終えた二番目に古い建物の角部屋に宿泊。谷あいの景色をのんびりと楽しみました。

上州富岡駅のロングキャノピー。

二日目は、富岡製糸場玄関口の「門」をイメージした「上州富岡駅」へ。水平の大屋根が浮いて見える軽やかな佇まいの中に、レンガ積みの待合室、コンコースなどが点在する「縁側のような居場所」です。

倉庫を改修したセカイト。

そして、「富岡市役所」とレンガ倉庫を改修した「セカイト」にも寄りました。庁舎は多くの木材を意匠デザインに用いた建物です。広場に面した半戸外の屋根付き通路では、暑さにもかかわらず楽器の演奏や読書に耽る姿があるのに驚きましたが、いい風景になっていました。そして、世界遺産「富岡製糸場」へ。賑わっていましたが、あまりの暑さで見学もそこそこに離れました。

鬼石多目的ホール。

その後訪れたのは「鬼石多目的ホール」。地下1階地上1階総ガラス張りの平屋建て、市民が集う場は、想像を絶する過酷な「憩いの場」でした。外気温38℃、冷房運転中の室内受付で33℃。熱中症によくならないですねと言って失礼をしました。(鈴木)