省エネ性能を考えた家づくりでないと住宅ローン減税が適用されなくなります! 町田市の注文住宅・鈴木工務店

住宅の省エネ化、高性能化の流れが加速しています

国土交通省の設ける断熱等級(断熱等性能等級)では、2022年10月よりZEHを上回る等級6、7が新設されました。新設前まで長期優良住宅は等級4のクリアが条件でしたが、新設後はZEH基準と同様に等級5以上が条件となるなど、住宅のさらなる高性能化を後押しするかたちとなっています。(下図・国土交通省)

2025年の省エネ基準適合化や30年に見込まれるZEH基準義務化、また多年度にわたり継承される住宅性能向上を支援する補助事業など、すでに家づくりを取りまく環境は省エネ・高性能化が大前提となっています。

住宅ローン減税も「その他の住宅」は適用外に

住宅ローン減税は年末の住宅ローン残高の0.7%相当が13年間所得税・住民税から控除される制度ですが、こちらも2024年から適用範囲が変わります。

これまでは「長期優良住宅・低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」と「その他の住宅」に分類され、それぞれ控除期間や借入限度額の範囲で住宅ローン減税の対象にしていましたが、2024年からは「その他の住宅」は「省エネ基準を満たさない住宅」として適用範囲外(国土交通省・下図2)となり控除されません※。
※2024年以降に建築確認申請を受けた住宅は住宅ローン減税の対象外。その他は下図(2)参照

家づくりを検討している人は、すでに省エネルギーで快適に過ごせる家づくりを前提としています

国の施策と昨今のエネルギー価格の高騰、異常気象による極端な寒暖差も相まって、実際の家づくりにおいても省エネ住宅への関心の増加を示すデータが見られます。住宅生産団体連合会の「戸建注文住宅の顧客実態調査」におけるZEH検討の有無では、2020年は「ZEHにした」とそれ以外(「検討は行ったがZEHにしなかった」「検討しなかった」「不明」)の比率は2:8でしたが、22年は4:6となりZEH普及の拡大がわかります。(下図・住宅生産団体連合会)

また、同調査では、住宅購入を検討する際に特に重視した点について1位の「間取り」に次いで「地震時の住宅の安全性」が2位、「住宅の断熱性や気密性」が3位となり、これまで上位だった「広さ」「収納の多さ」より順位を上げる結果となりました。

住宅性能の向上にともない建築費もアップ。土地探しからの家づくりでは予算配分がより重要に

住宅性能が年々向上するなか、円安やエネルギー価格高騰による建材や住宅設備の値上げ、人手不足、物流問題も重なり2024年以降も建築費は上がれど下がる要因は今のところ見つかりません。加えて、首都圏では土地価格も高止まりしているエリアもあるため、土地探しからの家づくりはとくに注意が必要です。

土地探しからサポートした実例。総予算から建築想定費用を差し引いた予算感で土地を探しました。

首都圏では条件の良い土地の動きが早いこともあり、先に土地を購入して残りの予算を建築費に充てる計画で相談に来られる方もいらっしゃいます。しかし、土地代に大半を割かれてていることがほとんどで、ご自身が想い描く家が建たない状況に陥ってしまっているケースは珍しくありません。

以前であれば、建物の規模や水回り等の住宅設備費の割合を見直したりすることで何とか予算に収めることも場合によっては可能でしたが、今は難しいのが実情。住宅の高性能化ほのか前述の住宅建設環境など、つくり手である工務店だけの差配ではどうしようもできないところでコストが上がってきている為です。

できれば、土地の契約をする前に工務店などのつくり手に敷地を見てもらい、建物以外の土地部分にかかるコストや、理想とする家が建つのかどうか、建築費と土地価格のバランスについてアドバイスを得ることを強くお勧めします。

鈴木工務店では土地探しからの家づくりサポートを行っています(サポート紹介はこちらから確認できます)。まずはモデルハウスをご見学いただき、お話しをお伺いしています。

性能だけでは幸せになれない

住宅性能が重視される流れは変わることはありませんが、一方で性能だけで「おうち時間」が幸せなものになるわけではありませんよね。室内の冷気や暖気の熱損失は約6割以上が窓からだといって、窓を極限まで絞った家で過ごして気持ちよいかどうかは疑問です。

町田市三輪緑山のT邸。ダイニング吹抜けに面した北窓から町田市が管理するケヤキ並木が望めます。北窓はトリプルサッシのYKK APW430を採用。

町田市で手掛けた鈴木工務店の建替え実例では、寒かった古家を夫婦ふたりの終の棲家に変える際、敷地北側の並木の緑を眺められる家にしたいという要望がありました。断熱・気密性能を高めた家なら、北でも2階でも家中がある程度一定の室温に保てるため、吹抜けのある北側ダイニングを採用して上下階に大きな北窓も設けることができました。加えて、この北窓にトリプルサッシを採用することで断熱性能をさらに強化しています。入居後2年半を経過した際に取材でお伺いしたところ、ご主人は季節を問わず薄着で過ごしていると教えてくれました。(かきのたね2022年夏号。こちらのblog「暮らしのスタイル」からご覧になれます)

住宅性能、暮らしやすさ、環境を読み解く術--より設計力が求められる時代に

性能は家も住む人も長く健康でいられるための大前提であって、もはや付加価値ではありません。まずは省エネ基準適合住宅はもとより、ZEHの実績が豊富なつくり手を選ぶとよいでしょう。そのうえで、住まい手自身が家づくりのこだわりや優先順位を明確にしていくことが大切です。

町田市の優秀街並みに選ばれたことのあるケヤキ並木に面したT邸の北側外観。

つくり手としては、住宅性能を高いレベルで確保しつつ、暮らしの要望や周辺環境を読み解きプランニングに落とし込む設計力がより問われる時代になっていることを実感します。

鈴木工務店では、毎月第3土曜日に家づくりとその流れを解説する「ツアー&セミナー ともにつくるいえ」を開催しています。住宅性能や設計の進め方をスライドを交えて数字や実例で紹介していきます。まだ家づくりを検討しはじめたばかりの方でもご参加大歓迎です。ツアーでは、敷地内に建つ築160年の茅葺きの可喜庵や大工の加工場、モデルハウスを見学します。詳しくはこちらのイベントページからどうぞ。

まとめ

これからの家づくりは、これまで述べてきたように省エネ化、高性能化は不可避です。それだけではなく、健康寿命に寄与したり長く住み続けられる安心感にもつながります。まずは現代の注文住宅がどのようにしてつくられるのか、またどのくらいのコスト感を持っていたほうがいいのかを押さえて、土地探しを含むこだわりポイントは優先順位の高い事柄から家づくりに反映させていきましょう。

予算を含む全体計画によっては、こだわりをだいぶ絞り込むことになるかもしれません。その際に、「本当に叶えたかったことだけが残った」と納得感を得られるか、「もっとこうしたかった」と諦め感が残るかどうかは、打合せのやり取りなど家づくりの過程を含む設計力にかかってくることに触れておきます。(Suzuki design & build)

ロフトのような2階北窓からケヤキ並木の緑を取込むT邸。