先日、2年点検のK様邸に伺いました。今回は、定期点検のポイントと気づきを紹介します。
定期点検の役割とチェックポイント
鈴木工務店ではお引渡し後、3ヶ月、2年、5年、10年の定期点検を実施ています。定期的は、不具合に初期段階で対処できたり、暮らしてからの気づきやご要望を共有できたりと、住まい手と作り手のコミュニケーションの場としても大事な役割を担っています。
なお、具体的な点検部位は下記のように家のほぼすべてとなります。
・骨組(木骨)
・屋根、外装、デッキ・バルコニー、外構等
・開口部
・内装
・建具
・設備
・電気
当然、経年によって現れる住まいの変化も異なります。例えば、3ヶ月点検では、電化製品で言うところの初期不良の有無が確認できるなど。下記では、経年による主だった指摘箇所の違いを見てみましょう。
・3ヶ月 電気設備関係の不具合→初期不良の場合は大体この時点までに確認できる
・1年 建具の動き、反り→春夏秋冬を経て動いた(伸縮した)木部を調整
・2年 造作家具の把手など使用頻度の高い箇所のゆるみ等→調整。住まい手自らが出来る調整方法の再確認
デッキや木塀など外回りの木部の状態確認→自分で出来るメンテナンス方法の再確認
・5年 排水管の汚れ詰まり→排水管高圧洗浄のすすめ
造作家具の把手など使用頻度の高い箇所のゆるみ等→調整。住まい手自らが出来る調整方法の再確認
・10年 屋根・外装塗装の経年劣化確認→外装修繕計画を提案
ライフスタイルの変化→間取り変更の実施
経年による不具合は、実際には10年以降に現れることがほとんどです。網戸やサッシの把手、水栓金具などのメーカー品も、20年近くになるとどこかしら不具合が出てきます。そのため、定期点検以降も、メンテナンスのお問合せに都度対応し、家守りとして長くお付き合いが続きます。
ちなみに、無垢の木材の伸縮については初期不良には当たりません。木材自体が水分の吸放出で伸縮する性質をもつためです。鈴木工務店では主要な構造材に国産の杉材を使用することが多く、床も無垢のフローリングです。無垢材は乾燥を経てもなお水分を含みます。季節によって水分の吸放出はずっと行われ、乾燥する冬場にフローリングの目が透くのはこのためです。そして夏にむけて湿度が上がるとその隙間が小さくなる--この繰り返しです。
大抵の住宅では柱や梁、壁、天井もすべてビニールクロス覆われていたり、床も合板や呼吸を妨げるウレタン塗装の膜仕上げだったりと、木材の伸縮を感じることはほとんどないかもしれません。マンション暮らしが長い場合も、木の家を新築して入居後に、木の動く様子やその際の音を体感して驚く方もいらっしゃいます。
しかし、前述したとおりこれらは不良ではなく無垢の木の特徴です(鈴木工務店の家づくりのセミナーでも解説しています)。定期点検の際には、そうしたお話しも改めて確認しながらお伝えしています。
ライフスタイルの変化に対応する、マイナーチェンジ可能なプラン
竣工から10年も経つとライフスタイルや家族構成にも変化が表れます。鈴木工務店では、設計段階からライフスタイルの変化に対応するプランを提案しています。たとえば、将来的な子ども部屋の間仕切り工事を容易に行えるよう、出入口や電気配線をあらかじめ用意しておいたり、高齢の親御さんの部屋を、将来的にはセカンドリビングや趣味室等として活用できる配置としたり。ちょうど10年点検やその前後のタイミングで当初計画を実行したいとお声がけをいただくことも少なくありません。
新築時からの定期点検や日々のメンテナンスに関する問い合わせなどで、住まいと暮らしの様子を確認させていただいていることで、間仕切り壁の新設や撤去、水まわりのリニューアルなどのご要望をスムーズに形にすることができます。
お客様の声は宝物
K様邸点検の後は担当大工と設計、監督に営業も合流して、K様の手料理と各種お酒が並ぶ夕食会にお招きいただき、贅沢な時間を過ごしました。家づくりの依頼先選びについては、建物が好みなのはもとより最後は人、とのお話しも。コミュニケーションの大切さを改めて思いました。鈴木工務店は設計施工の家づくりのため、長らく打ち合わせの対応をする設計者はもとより、現場で弊社の大工と接する機会も多くあります(専属大工が最初から最後まで担当します)。大工は往々にして寡黙な質だったりもしますが(必ずではありません・・・)、お客様は、担当それぞれの個性を楽しんでくださったようです。ありがたい!
お引渡し後のアンケートでは率直なご意見もいただきました。注文住宅は自由度が大きい分、決めることも多くなります。お客様の疑問や不安を払拭し、完成のイメージが思い描けるわかりやすい提案の重要性を改めて確認した次第です。
素敵な料理と会話、そして多くの気づきをありがとうございます。お料理の写真を撮らせていただくのをすっかり怠ってしまうほど楽しい時間となりました!(広報なのに・・・)。暮らしがはじまってからも続くお客様との関係が私たちの宝です!今後とも家守りとして末永くよろしくお願いいたします!