じめじめした季節のカビや汚れを防止する、すす払いの効能。

見落としがちな外装掃除のチェックポイントをお伝えします。日頃のメンテナンスで、汚れやカビを防ぎましょう。

(写真/板塀、杉無垢板の鎧張塗装仕上げとモルタル吹付仕上げの外装事例。塗装面とモルタルは10年を目処に再塗装の修繕をおすすめしています)

外壁汚れの原因はホコリ

「煤払い(すすはらい)」といえば日本各地の社寺仏閣で行われる年末の風物詩です。現代の私たちの生活のなかで「すす」が出ることはほとんどなくなりましたが、室内の壁天井はもちろん、屋外の外壁や板塀のお手入れにおいても実は今でも有効です。

屋外において雨風の当たるところはホコリは流れるので汚れにくい傾向にありますが、木塀の笠木の下や外壁の庇・軒下は要チェック。付着したホコリを元にカビが生えやすくなります。屋外を掃き掃除する際などに、手の届くところはすす払いも一緒に行うことをおすすめします。

ホコリを払う道具は柔らかい素材を選びましょう。棕櫚箒(シュロほうき)など昔ながらのものや羽根・毛・ポリエステル・布などを使ったはたきもおすすめです。硬い箒で払って外壁に細かい傷がつくと、傷の溝にホコリが溜り、カビ床や汚れの発生原因になるのでご注意ください。

(写真上/シュロ箒は細くて弾力性があるので細かい隙間のホコリも取り除くことができます。 写真下/柔らかい化学繊維のドライシートもおすすめです)

外壁材による掃除の注意点

鈴木工務店では外壁や塀に防腐、防蟻処理をした木材(浸透型のウッドロングエコや乾式注入防腐・防蟻処理木材のAZN)を無塗装で用いることが多いです。これらは塗膜による塗り直しが不要で自然素材の経年変化、風化を楽しめます。いっぽうでホコリ等の上にさらに汚れが付着すると黒い斑点(下写真)となり目立つことがあります。箒でホコリを払うことで、さらなる付着を防止できます。苔のようになってくる場合も、同様に箒などでこまめに払ってください。一度付いてしまった黒ずみの除去は難しいため、予防が大切です。カビ取り剤等の使用は避けてください。

(写真/杉の無垢板にウッドロングエコを浸透させた板塀。笠木で上部が覆われている側の黒い斑点は、雨で洗われない部分に見られる現象の可能性が高いです)

万が一カビや苔がしっかり生えてしまった場合は、基本的にデッキブラシでこすって落とすことになります。高圧洗浄機の先にブラシを付けて弱めの圧力で洗っていただいても良いですが、その場合は、陽当りや乾きやすさを考慮して行ってください。ブラシによる擦り洗いの後は、木肌の汚れが落ちて他の部分より明るい色味になります。防腐防蟻剤の再処理は基本的に不要ですが、ウッドロングエコ仕上げの家で気になる場合はDIYで再塗布しても構いません。

なお、ガルバリウム鋼板等は傷が錆の原因になることもあるのですす払いの際には注意が必要です。塗装仕上げ、モルタル吹付、サイディングも基本は柔らかい素材で払ってください。

(写真/ステンレス庇の汚れ。外壁はガルバリウム鋼板)

『かきのたね』vol.53 お手入れ ら・ら・らより