一般的な木造住宅は構造も省エネ性能も審査省略がなくなります
2022年6月に公布された建築物省エネ法・建築基準法が25年4月より全面施行されます。大きな改正点は4号特例と省エネにあります。4号特例は、木造住宅等の小規模建築物において建築士が設計を行う場合には、構造関係規定等の審査が省略される制度です。今回その対象となる建築物の範囲が変わります。今までは木造2階建てや、平屋建ては構造関連の審査省略制度の対象でしたが、25年4月からは木造平屋建て延べ面積200㎡以下のみ特例が継続され、それ以外の全ての木造建築物は前述の審査が義務づけられます。
(写真:町田市M邸。2022年竣工の平屋。断熱・気密・熱交換換気・太陽光発電・太陽熱床下暖房・給湯をOMXで組んでいます。蓄電池も備えた、コンパクトで高性能な住まい)
安心の見える化や光熱費の年間消費量が計算できるなど、家計支出の予測が立てやすくなるメリットも
省エネ性能については脱炭素社会実現に向けて、50年までに住宅ストック平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の省エネ性能確保を目標に、これまで対象外だった住宅も4号特例範囲縮小につき省エネルギー基準の適合義務の対象になります。窓やエアコンの性能表示のような住宅省エネ性能表示を導入するようで、光熱費の年間消費量が計算でき、家計支出の生涯予測がしやすくなりそうです。
(写真:町田市T邸。ロフトのような2階家ですが、軒を低く抑えて平屋のような佇まいに。セルロースファイバーで充填断熱し、眺めの良い北窓をトリプルガラスにして断熱性能を高めています)
大規模なリノベーションは制度の影響を受けることもありそうです
また、屋根と柱を残すだけの大規模な修繕や模様替えも増えています。現行制度では4号建築物の大規模な修繕や模様替えは建築確認申請の対象外(準防火地区内の増築、防無指定地域内の10㎡を超える増築は申請が現行制度でも必要です)ですが、改正後は「木造二階建て」と「木造平屋建て200㎡超」建築物も確認申請が必要になりそうです。(マイタウン7/15号コラムより・鈴木)
(写真:町田市K邸。築28年の軽量鉄骨の家をスケルトンリノベーションしました。ほとんど断熱材が入っていなかった状況から、断熱改修で室内の温熱環境は大幅に改善されました)
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建物の大小に関わらず、住宅性能を確保する家づくりを
家の性能が向上し担保される反面、申請書類の増加や建設費の増加にもなります。また、リノベーションの場合は既存住宅の状態や確認申請書類、検査済証の有無等でも、事前にかかる手間や調べる内容、計画内容が変わってくるので注意が必要になりそうです。
改正はこれまでも今後も繰り返されることが前提ですが、今後はとくに環境や省エネ、暮らしを考えた一歩先行く家づくりが求められる時代です。弊社はすでに構造計算及びZEH、長期優良住宅をクリアする家づくりをしています。