自分らしく暮らせる場所に出会うために“土地選び”の視点をもとう
先日の家づくりblog「土地探しからの家づくり-1 と中古リノベーションの現在地」の関連blogです。今回は「土地選び」についてお伝えします。
土地との出会いは縁ですので、自分の力だけではいかんともし難いところがあります。でも、なかなか出会いに恵まれない方は、もしかしたら自らの条件や先入観で見逃している物件があるかもしれません。
思うようにいかないなぁと思ったら、土地選びの視点を持つ、あるいは変えてみましょう。予算やエリアはもちろんですが、土地そのものへの条件の幅を正しく広げると選択肢が増える場合がありますよ。「正しく」とは抽象的過ぎますが、主には建築的な視点で見る魅力の発見と実現可能性、そして、その土地や場所で営まれる暮らしが住まい手のライフスタイルに合っているかどうかです。
南向き、整形地至上主義を見直してみる
売りやすさや値の付けやすさを考えると、不動産会社が南面、整形地の土地を勧めるのは当然と言えば当然です。不動産会社の視点は正しくないわけでは決してありません。しかし、競争率が高いので価格が高かったり(値下がりしにくい)、すぐに買い手がついてしまうなど、手が届かない土地でもあるわけです。
こうした条件の土地は、どんなプランの家でも素直にはまるので、つくり手を選ばない土地とも言えます。不整形地や日当たりに不安がある土地の場合は、設計の工夫が求められるので、つくり手の設計力と提案力が必要になります。そのため、ハウスメーカーの規格住宅の候補地からは外れることが多く、競争率が低いことで価格も抑えられていたり売れないでいたりする土地もままあります。
こうした土地も候補に入れて考えるなら、不動産会社へのリクエストの際には、不整形地や北側道路も可である旨を明確に伝えておきましょう。不動産会社の売りたい物件バイヤスからこぼれる物件と出会える確立が上がりそうです。
ポイントは建築的な魅力の発見と実現可能性
土地探しからのお客様から、「自然が身近にある場所」が希望とよく伺います。鈴木工務店のある町田市は、都内へ通勤できるベッドタウンでありながら、起伏のある地形と緑の残る里山風景を楽しめるちょっとお得な場所、ということもあるのでしょう。
また、少なくないご家族さまより、「このエリアの学区に家をもちたいので引っ越してきました」とも伺います。鈴木工務店は小田急線の鶴川駅が最寄りです。周辺には玉川学園付属や和光大学付属、公立だとNコンにも出場歴のある鶴川第二中学校などの人気校があり、それらへ通学できることが、駅としてはマイナーな(各駅停車しか停まらない)割りに人気の理由なのかもしれません。
しかし、実際に土地を探し始めるとなかなか難航している方が多いです。駅に比較的近い分譲地は開発から30年以上経過しているところも多く、区割り(敷地)が大きくて高額になりがちです。里山に近い場所は、傾斜地だったり擁壁、インフラの整備が必要で、土地価格にプラスして宅地造成費がかかってしまうケースが多いのです。土地価格が低く抑えられている物件は、土地の整備に費用が掛かると思って予算配分を考える必要があります。
その土地にどれだけのコストがかかるのか、イニシャルと暮らしてからのランニングも含めて見当できることが大切です。ポイントを押さえておくと、後で、こんはなずじゃなかった、という後悔が避けられますよ。
魅力の点では
1)一にも二にも「眺めたい景色」があるか否か
何も、高台の一等地である必要はなし。「ここに立つと山に沈む夕日が見える」とか、このあたりに窓があればピンポイントで「近隣公園の緑が望める」といった具合でもOK。あとは、設計の力でその魅力を住まいづくりに取りこめばよし
2)道路面より1mほど高い敷地がベスト…つくり手としてお勧めする条件のひとつ。道行く人と視線が交わらずに海保不敵に暮らせて、高低差も苦にならない
実現可能性の点では
1)接道チェック
…間口2m以上(建築基準法。2m以下は建築不可、建替え不可)
2)車付けチェック
…工事車両が入れる道に接道しているか。高低差も含めて、資材や解体時に手運びとなると一気に人件費が上がる
3)インフラチェック
…水道、ガスの引込有無(自然豊か過ぎると引込ナシは珍しくない)
4)インフラの引込距離
…長ければ長いほど高コスト(旗竿敷地は割安だが、引込距離が長すぎるのは要注意)
5)擁壁の建築確認
…2mを超える擁壁がある場合、建築確認済か否か確認(否の場合、建物を離すか擁壁をやり直す必要あり)
6)ハザードマップの確認
…崖や河川が近い場合は必ずチェック
7)緑豊かな隣接地の行く先確認
…隣接地や景色が開ける先に森や竹林がある場合でも、景色は自分の敷地内で(も)つくることを考える。
個人所有の緑地の場合、将来的に住宅やマンションになる可能性大。管理がされているかも大事なポイント。自然を感じたかったけれど、結果、枝の越境や落ち葉、虫に悩まされるという事態にならないように。
8)利便性と自然環境のバランス
…町田市の鶴川駅周辺(能ヶ谷、真光寺、広袴、小野路、岡上、青葉台などなど)は駅地下の里山があるが、1)~6)は要チェック。そもそもが農地であると宅地として売りに出ないので、イメージだけで探さず、希望のエリアとあわせて地元の不動産会社に確認
9)希望のライフスタイルと実際の暮らしをリアルにイメージ
…畑や竹林、林に囲まれた土地で暮らしたい場合、敷地周辺と住まいのヒビのケアもそれなりに必要。草取りや木の剪定、湿気対策などなど。求めた環境が暮らすうえでの負担にならないように、これからの暮らしを時には下調べも含めてリアルにイメージを
10)用途地域の確認
…いわずもがな。自然豊かな敷地は第一種低層住居専用地域ではない場合が多く、当初は周辺が空地でも、将来的に資材置き場や駐車場、倉庫などが建つことも、用途地域次第では十分あります。将来的に土地と家をどう扱うのかも考えて、資産価値の視点も持ち合わせたい
ほかにも、いろいろありますが、土地探しからのお客様にお話しする内容をまとめてみました。鈴木工務店の家づくりサポートでは、依頼に応じて土地の下見もしています。不動産情報に当たる前に、まずはどんな暮らしをしたいのかをお聞きしてから、“視点”のお話しをしています。
ただいま「秋・冬 住まいの無料相談会」を開催中です。土地探しからの家づくりでも、リノベーションのご相談でもお気軽にお問い合わせください。
秋・冬 住まいの無料相談会 @モデルハウス「家の展示館」ほか | 株式会社 鈴木工務店