はじめに
今回は、鈴木工務店が手掛けた上下階分離型の二世帯住宅「ふたつの暮らし、ひとつのぬくもり」の完成見学会の様子をお伝えします。開催はまだまだ冷え込みが厳しい2月の下旬でした。

2階子世帯のリビング・ダイニング。勾配天井の仕上げに木の桟を貼りました。音を拡散させる効果と空間のアクセントになっています。屋根断熱は外断熱にネオマフォーム、充填(内)断熱にセルロースファイバーを施しています。
上下階分離型の二世帯住宅とは
この住宅は、1階に親世帯の住居とステンドグラスの工房、2階に子世帯の住居を配置した上下階分離型の二世帯住宅です。共用の玄関や多目的な畳間、庭や駐車場も共有しつつ、それぞれのプライバシーを確保しています。

1階親世帯のリビングダイニング。天井裏の懐を大きくして、防音効果のあるセルロースファイバーを250ミリ敷設しています。
高断熱性能で実現する快適な住環境
この住まいでは、屋根と外壁に付加断熱を施し、窓にはトリプルガラスを採用しています。その結果、住宅性能はUa値0.25W/㎡・K、C値0.4、省エネ率は再生可能エネルギー(太陽光発電)を含めて102%を達成し、断熱等性能等級7(最上等級)を取得しています。これにより、延床面積が66坪を超える大きな住宅でも、14畳タイプのエアコン1台で快適な室温を保つことが可能となりました。
実際、見学会前日からエアコンを22℃設定で自動運転していましたが、日中の日差しが入った室温は24℃を超え、エアコンの出番はない状態。日が傾いてから外気温は7℃を切りましたが、室温の低下はほとんどありませんでした。1階北側に配置した親世帯の水まわりの床も隅々まで暖かいのには、正直私たちも感動です。

見学会当日、ソファに座ってゆっくりされる方が多い一日でした。神奈川県県央エリアの現地は、2月下旬現在の最高気温7℃台、最低気温1℃台。室温は一日を通して24~25℃をキープ
見学会での体感。あたたかいと、ゆっくり過ごしたくなる
見学会では、参加された皆さまにゆっくりお過ごしいただけました。長い方で2時間近く滞在された方も。エアコンの風を感じずに家全体が暖かさに包まれている空間は、肌感覚で安らげるようです。熱交換換気を採用しているので、室温の損失も防げるのですが、換気もエアコンも基本的には24時間稼働(エアコンは自動運転により設定温度に達するとエコ運転に切り替わりますが)しているので、湿度はどうしても下がってしまいます。暮らしが始まると日常生活で発生する水蒸気(調理や洗濯干し等による)などで多少ですが緩和されます。観葉植物を置いたり、湯船の残り湯を張った状態で浴室のドアを開放しておくなど、皆さん工夫していらしゃいます。

ロフト空間にエアコン室も備えています。床はチークの無垢フローリング。約22畳の大きなLDK空間をダークブラウンの床が引き締めています。
6地域での家づくり。屋根(天井)の断熱が肝
国交省の定めた省エネ基準地域区分で、関東は6地域です(全国8地域に区分。北海道は1~3、沖縄は8地域)。北海道レベルで断熱等性能等級7ですから、私たちが暮らす町田市近郊エリアは等級6をクリアできる性能を確保できれば十分快適に暮らせます。それでも、近年の温暖化による夏の異常な暑さを考えると、日射にさらされる屋根(天井)の断熱は手厚いに越したことはありません。
見学会住宅は上下階分離型の2世帯ということもあり、防音の観点からも1階の天井、2階の天井ともにセルロースファイバーを付加しています。グラスウールに比べて熱容量の大きいセルロースファイバーを防音に用いたことで、一度あたたまると冷めにくい性質から外気温の変化に対して安定した室温を保てる結果となりました。
夏の快適性への期待
夏はこれからですが、エアコンで冷ました床・壁・天井に包まれた空間は今度は熱しにくくなります。その際に前提となるのは、日射遮蔽です。遮熱を窓の外側で行える工夫(外付けシェードや簾でも十分です)を施すことが大事。断熱性能の高い家に夏の日射を入れてしまうとどうなるかは想像に難くないでしょう。
今回改めて実感しましたが、大きな二世帯住宅を覆う、熱容量も面積も大きな屋根の効果は絶大です。一般的な単世帯住宅でも、外壁の断熱は等級6以上を確保しながら、屋根は手厚く付加断熱を施していくことが、6地域での家づくりに求められる(費用対効果も考慮した)スペックになりそうです。(もちろん、住まい手が希望すれば最上級レベルの等級7も今回のように可能です)
今回の事例写真はWORKSページでご覧になれます↓
https://www.suzuki-koumuten.co.jp/works/ふたつの暮らし、ひとつのぬくもり/
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