世紀の対決・八王子二美術館

八王子夢美術館で「戦後住宅伝説:挑発する家・内省する家」展と東京富士美術館の「レオナルドとアンギアーリの戦い」展を梯子して来ました。

「夢美術館」は「夢」にも興味を持って出かけたのですが、オフィスビルの二階にひっそりとしてあり、富士美術館は八王子の緑深き山中の広大な大学キャンパスに隣接してありました。

 

「戦後住宅伝説」展は、今なお大きな影響を与えている伝説的な16人の建築家のコンセプトと共に16の住宅作品が紹介されている展覧会です。

ホールに入ると、先月亡くなった東孝光氏自邸「塔の家」1966年作が床に原寸平面図で再現され歩いて実感できるようになっていました。しかし、壁のない平面では空間を実感するのには難がありました。いまだに、こんな住宅もあるのかと驚きを感じます。

続いては、丹下健三氏の成城学園の自邸「住居」1953年作。学生時代、不審者の様に道路から築山越しに覗き込んだ記憶があります。住みやすいのかと思いながらも、緑の芝生の先に建つピロテイ―形式の美しさはいまだに記憶にあります。

篠原一男氏の「白い家」1966年作。宝形の瓦屋根に覆われた正方形のプランのもとに「確かなるもの」を感じさせられる明快な作品に映りました。

石山修武氏の1975年作「幻庵」には興味を覚えました。デザインの奇抜さも目を引きますが、室内の宙に浮いたような太鼓橋を渡るときはどんな思いがするのか体感してみたくなりました。

窓から、屋根から光りの入り方と光の扱いがきれいで、一日時間を忘れて空間を満喫してみたい作品ばかりでした。

 

レオナルド・ダビンチの失われた大作で、モナリザと並ぶ傑作になっていたといわれる「アンギアールの戦い」です。この作品はイタリア・フィレンチェのヴェッキオ宮殿「五百人広間」の壁画を飾る予定で、現在は1560年代の改修工事でヴァザーリの大壁画によって覆い隠されてしまったそうです。

「アンギアールの戦い」は、“躍動する戦闘画”という絵画表現の作品でした。人間の骨格や筋肉で内部から出た動きを表現、人馬の絡みの状態など気が抜けない構成になっています。その後のイタリアバロックに大きな影響を与えた作品といわれています。しかし、どの作品もレオナルドの迫力、真柏性にはとても及でいないと思いました。

因みにこの作品の反対の壁面にはミケランジェロの「カッシナの戦い」が描かれることになっていたそうです。

「世紀の対決」も「夢」と消えたのでした。

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