​ 地面

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地面から立ち上がるエネルギーを感じたのはナポリを旅したときです。

重厚な石が敷き詰められた街路は雨に濡れると黒く輝き、自分の存在を歴史の光の中に浮かび上がらせます。

晴れた日に見上げると、青い空を背景にした空隙には洗濯物がぶら下がり、郷愁に似た気持ちになります。

石畳は人々の息づかいや情念、汗や血や涙を吸収し、雨の日にはいっせいに、大気へそのエネルギーを放出するようです。

多田祐基

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